先週発売の「週刊現代」で、亀田の再戦延期について電話取材を受けた。

「亀田の怪我の真偽についてだとか、バッシングに加担するようなコメントはしませんよ」と断ったうえで、マブタの怪我についてはコメントすると言って引き受けた。

私も同じ箇所(マブタ)をカットした経験があるので、詳しく一通り話し終わると、記者からいくつか質問を受けた。


記者 「こんな試合直前に練習で怪我をするなんてことがあるんですか?」
私  「スパーリングは試合の1週間ぐらい前までやります。直前だろうが、ずいぶん前だろうが、ボクシングでは練習で怪我をすることはありますね。」
記者 「スパーリングでマブタを切るというのは?」
私  「よく切るのは目じり周辺です。マブタはそんなにないですね。」
記者 「ケガで直前に試合が延期なんてことは、よくあるんですか?」
私  「よくはないですねぇ。怪我の状態をみて判断したんでしょう。」

このようなやり取りがあった。
週刊誌側に都合の良いように書かれないようコメントに注意した、のだが…。

発売された「週刊現代」では、“疑惑の全真相スクープ”として、いきなり冒頭部分で私のコメントが。
『「世界戦直前のスパーリングで、まぶたのケガというのはあまり聞いたことがない。トレーナーも特に気をつけるはずですし…」と飯田覚士氏は首をひねる。』
と、怪我をしたこと自体、私が疑っているようなコメントに!
「……。」(唖然)

普通は、まゆ毛と目の間、骨が出っ張っているところを切りやすい。
マブタは目を閉じた瞬間にしか負傷せず、下は眼球なので弾力があり、カットしにくい部分だ。

そのためスーパーリングや試合のとき、目や鼻の周りは丁寧にワセリンを塗るのだが、目を閉じてマブタのうえまで塗ることを疎かにする選手やトレーナーはいる。
「マブタなんか塗るんですか?」と若いボクサーに質問を受けたこともある。

亀田が「マブタを怪我した」ということをニュースで知った時、上のようなことが頭をよぎった…と取材の時に週刊現代の記者に話した。

「ワセリンですか、面白いですね」と、とても興味を示して、そのコメントを使わせてもらいたいと言っていたのだが、編集の段階で他の記者と話し合った結果、使わせてもらうコメントが変更になったと、発売の直前に連絡があった。

私の出したコメントがここまでニュアンスが変わるのなら、他の人が出しているコメントもみな…と考えてしまう。

「週刊誌は恐い…」