NNNドキュメント’08「花嫁は車いすに乗って」を観た。

細川いずみさん(28歳)。

9年前に交通事故にあい、3か月のあいだ意識不明。
その後に意識は戻るが、脳挫傷による重い障害がのこった。

懸命な母親の看護と本人のリハビリで、なんとか車いすで生活ができるようになる。


入院中、「いずみさんの笑顔に惚れた」と交際を申し込まれ、その後入籍、結婚。
笑顔には、その人の本心が表れると思う。
旦那さんの言うとおり、番組中のいずみさんの笑顔はいつも素敵で美しかった。

「結婚式を挙げたい」と言ういずみさんに対し、旦那さんは挙式には反対だった。
だが、いずみさんの式を挙げたい理由が、「これまで自分を支えてくれた人たちに『ありがとう』を言う場を持ちたい」からだと知ると、挙式を決意。

結婚式当日、いずみさんから、母への感謝の言葉を贈るところで、
「おかあさん、私を産んでくれて、ありがとう…」

泣きながら、まだ障害の残るしゃべり方であったが、伝えた。

前にもiida-ismで「親への感謝の気持ちが持てて一人前、感謝の基本」と書いたが、これほどまで心を込めた「ありがとう」を聴いたのは初めてだった。

私も自分を育ててくれた親への感謝の気持ちは山のようにあるが、「自分を産んでくれたこと」に対して感謝の気持ちがあるだろうかと、ふと考えさせられた。

人生、「死ぬまで修行、死ぬまで勉強」。
こんな厳しい世の中に産んでくれた親へ、感謝ができるのは最上級の人間だろう。

もう一つ考えさせられたのは、いずみさんが最後に、
次は「歩けるようになりたい」と語ったこと。

生きること、死ぬことがボヤけた世の中で、毎日のように訳の分からない事件を起こす人がいるし、自殺する者もあとを絶たない。
何が自分にとって「幸せな人生」なのか…。
死ぬ時に、どうであれば「幸せな人生だったなぁ~」と思えるのか…。
“幸せな人生”を送るためには、考えておく必要がある。

二人の結婚式には、親戚や友人、看護師やリハビリの先生など大勢が集まり、旦那さんが車いすを押して、みんなから祝福の拍手を受けていた。

二人とも、とても美しくて素敵な笑顔をしていた。