普段はボクシングの世界戦を見ないような、一般の人からも注目された試合だっただけに、あの判定にはガッカリした。
今回は都合がつかず、会場ではなくジムのテレビでの観戦となった。
試合前、会員さんにも「8~10RにKOするだろうな!」、「いや、もうちょっと早いかも?」なんて、亀田勝利ムードで見始めた。
試合後の採点発表に時間がかかっていたので「まさかドローだったりして…」といったら、みんな笑いながら「え~ウソー!」
なかなか発表されず、妙な間があいた…。
さらに「頼むから“亀田の勝ち”なんてことにならないでくれ…」と手を合わせて必死で祈ったが…。
勝者のコールがあった瞬間、「ガッカリ…」ぐらいの言葉では言い表せないほど、今後のボクシング界にとって大問題であり、失望を感じ、落胆した。
1Rのダウンには驚いた。
倒れ方も、まったく踏ん張りがないように感じた。
(減量の影響か、それともオーバーワークか…)といろいろ考えたが…?
顔色からすると病的なオーバーワークではなさそう。
また、この日の亀田に感じたのは、特に左のストレートに力がないこと。(左の拳を痛めているのかも…?)
いつもなら相手のでばなに左を上手く合わせるのに、今日は左を出す数も少なく感じた。(試合後の情報では、左拳の異常はなかったようだ)
亀田からするとランダエタは相性が良い選手。
ランダエタは亀田のプレッシャーで足を使わされ、出入りする場面は多くなるはず。打ち合う時にランダエタは右のガードが下がる癖があり、そこに亀田の左が決まる気がしてならなかった。
しかしランダエタは序盤から接近して戦った。亀田は自分の距離であったが1Rのダウンが後を引きずったのか、うまく戦えないラウンドが続く。
後半にはいってからの亀田の弱りようにも違和感があった。
(まさか減量にサウナを使った…?!)
「どうしたんだろうな…」と、いろいろ考えながら見ていた。
対するランダエタもL・フライ級では特別なものを感じることはなかった。ミニマム級では体格やパワーなど、怖さがあったのだが…。
後半は無理をせず、ポイントアウトに徹したようだった。
亀田ファンは別として、ボクシングファンはこの日、亀田が今までの対戦相手(序盤KO)では見せていない、世界レベルのポテンシャルを見られるのではと期待したはず。
「一発当たれば倒せる」、という亀田はみんな知っている。
左のパンチに力がない今日は、ディフェンスや試合運びなどに注目してみた。
この日の亀田の戦い方で目についたのはディフェンス。
亀田のガードのスタイルではアッパーを狙われる。これは今までにも言われ続けていたこと。
しかし亀田はランダエタのアッパーを喰らい続け、最後まで全く対処できなかった。ということは、「対アッパー対策」ができていないということか。
リングの中でのポジショニングなど、苦しい時ならではの攻め方などは、経験のなさが如実に表れた。
ランダエタの言う通り「(ボクサーとして)亀田は子供」に感じ、楽に戦えただろう。
私にも経験がある。世界戦でいえば、ヨックタイと初防衛戦のガンボアだ。
(ボクサーとして)子供だと感じると、精神的にとても楽になる。ポテンシャルが相手の方がうえであっても攻略法は見つかるものだ。
試合後に亀田本人が言う通り、“まだまだ、もっと強くなる”必要がある。
チャンピオンになってしまった今、防衛しながら強くなる練習をするのは難しいのだが…。
この日、亀田は世界の厳しさを初めて感じたはず。ボクシングの厳しさも感じただろうか?
世界戦のリングに上がるには、気持ちに少しの隙も緩みもあってはならない。
亀田には、試合以外の雑念や、周りの雑音が多すぎるように思う。
「何としてでも俺が勝つ!」という気持ちで相手にぶつかって行くのが薄らぎ、苦しいなか自分(とセコンド)の中で採点を計算して戦っているようにも感じた。
大手名門ジムの選手に多い「これでなんとか勝てるだろう…」というハートが試合中に感じられた。
亀田ブランドは頂点に達した。
もうパフォーマンスに時間と気をつかわなくてもマスコミはついてくる。
今後は、試合が決まったらカメラではなく、リング上の戦いにのみ意識を向けるべきだ。
それがカッコ良いボクサーであり、チャンピオンだと思う。
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