上体をふってパンチを避けようとすると、腰から上を左右にくねくねと曲げてしまいがち。
タイソンのようなピーカブースタイルというものもあるが、バランスを崩さない絶対的な基本があると思う。

ボクシングスタイル(ファイティングポース)を「三角形」に例えて説明してみると…


ファイティングポーズをとった時、頭が三角形の頂点で、両足は底辺の両サイドの位置にあたる。すなわち両足のスタンスの広さが三角形の底辺の長さになる。

三角形は底辺の長さが短いのに頂点の高さが高ければ不安定になる。(スタンスが狭く腰高のスタイル)
「安定したバランスのスタイル」と「頂点の高さと底辺の長さ」はとても大事な関係にある。

「底辺が短い二等辺三角形」が基本のファイティングポーズになるが、正面から見た時と横から見た時とでは少し違ってくる。正面からはほぼ二等辺三角形になっているが、横から見るとやや前傾姿勢になっているので、頂点は底辺の真ん中より前方になる。

最初の話に戻るが、頭を振ってパンチを避ける時、三角形で例えると、頂点は底辺上のどこかになければいけない。底辺の外まではずれるとバランスを崩してしまう。
(横から見たときに、前足のつま先より顔が前に出ている状態はバランスが悪い。前から見てパンチを避けた時に右足より顔が右、左足より顔が左に出ている状態もバランスが悪い。)

変則スタイルもあるが、頭の位置は両足の内側のなかだけが基本となる。(※1)
避けるのは相手の小さな拳一つ分だけ!十分この範囲内で避けることが出来るはずだ。パンチを恐がり、大きく避けてバランスを崩さないように!

パンチを避ける、あるいはリズムをとりながら上体を振って、頂点の位置を移動させる場合、三角形の底辺の両端上に近くなればなるほど頂点の高さも低めになるはずである。
(膝を柔らかく使う)

タイソンのウィービングは素晴らしい動きでした。素早く頭を振っても全くバランスを崩さなかったのは、三角形の底辺(下半身)がしっかり安定していた証拠ですね。

また次回、「腰のすわり」についても解説してみます。

(※1)上級者になればステップワークと連動させて、“底辺外”に頭をもっていきながら、防御や攻撃をバランスを保ちながら広い範囲で行えます。

飯田覚士ボクシング塾 ボックスファイ