どうしても構えた時に肘が開いてしまう選手がいる。

私はジャブ側の構えはさほどうるさく言わない。しかし、ストレート側の腕の位置は大事だと思う。

ジャブはフリッカーぎみであってもややサイドからでも打てるが、ストレートはやはり“真っ直ぐ”打てなくては話にならない。


私が教えるポイントの一つは肘の位置。

構えた時の肘(腕)の位置は、ボディーのディフェンスでもあり、とても重要である。
肘(脇)が開き、対戦相手から見てボディーが開いていれば「打ちたい」と思わせてしまう。これは絶対に損。初めから隙がなくて打ち所がない相手を前にするだけで嫌になるものだ。

指導としては、「脇に体温計を挟むようにして」という。(脇をしめた、一番楽な位置)このときに力を入れて脇をしめなくても良い。体温計が落ちない程度の楽な締め方でOK。

これで肘の位置が前にこないならオーソドックスの選手には「右手の中指で左の肩を触ってからゆっくり肘を下ろして」という。(二の腕が少し胸にのる感じ)
この時の肘の位置のまま、拳はアゴの辺りにもっていく。

ストレート側の肘が開いていると、初心者は力みやすく、ラウンドを重ねて疲労してくると大振りになりやすく、パンチを読まれてしまう。

なにより肝心なことは、力まず、狙った相手の急所まで一直線に自分の拳が移動すること。(構えた拳の位置から最速、最短距離で)
ストレートパンチは身体の中心軸に近い位置から一直線に飛んでくるのが一番相手にとっても避けにくい。

選手の体格、筋肉のつき方によっては、どうしても肘が身体から離れてしまう。この構えが窮屈で動きにくく感じるようなら、リラックスした(少し肘が身体から離れた・中心軸から離れた)構えでいいと思う。

オーバーハンド、または迫力で相手を後に下げるようなフックがかったパンチは、奇麗に真っ直ぐ伸びるストレートが打てるようになってから練習しよう。

飯田覚士ボクシング塾 ボックスファイ