「まさか、序盤のKO決着になるのか…?」
予想をしていなかった展開に目が離せなくなった。
47.6kg。
こんな小さな二人の異国人のぶつかり合いで、これだけ熱くさせれることも、この先そうそうないだろう。
マヨールのパンチ力、スピードやバネなどの身体能力は噂通りだった。
リーチ差をいかしてロングのパンチで戦うなどのイーグル対策、そしてなによりも、気迫が凄かった。
しかし、それを上まわるイーグルの中盤以降の修正能力は凄かった。
マヨールの先制攻撃に熱くなってリズムを崩し、無駄なパンチをもらってためたダメージは中盤まで響くが…
マヨールのパンチの軌道をよみ、避ける時の頭の位置をかえた。
そしてボディーを攻め、イーグルより一つ遠い距離から攻めていたマヨールの射程距離を縮め(ボディが効くとパンチの伸びがなくなり攻撃範囲が狭まる)、接近戦で打ってはサイドにステップするなど、序盤の荒々しい戦いぶりから一転して精密な組み立てで、じわりじわりとペースを手繰り寄せ、冷静に、慎重に、自分のボクシングをマヨールにはめ込んでいく…。
マヨールは(気迫は薄れておらずパンチもいきているのだが)、序盤のハイペースで余裕はあまりない。
試合は終盤戦に。
解説の浜田さんも8Rから流れが変わり始めたと言っていた。
このあたりが一番見応えがあった。“鎬を削る”とは、まさにこんな状態のことだろう。
マヨールがどうにも踏ん張り切れず、足がもつれるようにダウンする…。
もし逆の展開なら、イーグルもあんなダウンの仕方をしたのだろう。
お互い背負っているのもが大きかった。
だが、マヨールが負けても次がある。イーグルが負けた方が、いろんな意味でボクサーとしてのダメージは大きかっただろう。
試合中、イーグルにスマイルはなかった。
試合展開以外に、両者のセコンドにも目がいく。
どんなアドバイスをして、鼓舞していたのだろう。
特にイーグルは序盤から右目を腫らし、左目もカット。こんなに忙しく、神経をすり減らすセコンドワークはなかなかない。
角海老宝石ジム鈴木会長の、勝者コールの時のガッツポーズが印象的だった。
イーグルとマヨールの再戦。
間違いなくマヨールはさらに強くなる。
イーグルは自信をつけ、またチャンピオンとして勝負強くなるはずだ。
気が早いのは十分承知だが、「この二人が再戦したら…」と考えるのは、ファンにとってはおもしろすぎる組み合わせだ。
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