稲田千賢選手の試合を観戦。

身長、リーチともに恵まれた東洋ライト級チャンピオンの稲田選手が、韓国チャンピオンでKO率も高く、かつ無敗である挑戦者を迎え撃つ。

「身長やリーチが上回っている」ということが優位であるのはせいぜいB級ボクサー程度。日本タイトルぐらいになればそんなことは優位にはならない。(なっていてはレベルが低い。)
タイソンを見れば分かる通り、相手の長所をころし、自分の長所を武器に戦える者ばかりになってくるからだ。

序盤から稲田選手は自分のペースで試合を進めた。

中盤、やや狙いすぎたのかジャブの少なさがめだち、一方的な展開にも関わらず時どき韓国ファイターが息を吹き返して大振りのパンチを振るのをみて、観客もややフラストレーションを感じ「ボディー効いてるよ!もう倒せよ~」の声。


稲田チャンピオンはここからが素晴らしかった。
そんな声がかかった次のラウンドで、一発のチャンスを見逃さず、相手が効いたそぶりをみせた後は一方的な攻めたて方で、ストレートパンチを何度も何度も狙い撃ちし、ロープをつたって防戦一方になった挑戦者を追い続け、逃げ場を失いたまらず自らの青コーナー下にダウン。
無敗の韓国チャンピオンをマットに沈め、しっかりとTKO勝ちをおさめたのだ。

身長が高く、リーチが長いためにとても大きく見栄えのあるKO劇となった。
ダウンの瞬間、観客は総立ちで大喜び。久しぶりに後楽園ホールの観客が一体化する瞬間だった。

世界のランキングにも名を連ねている稲田選手。世界を狙える実力があることを見せつけた試合になったと思う。

「優位にはならない…」と言ったものの、やはり身長とリーチを武器に、これからも勝ち進んでいってもらいたい。

飯田覚士ボクシング塾 ボックスファイ